7月の減速の先に見る、米国産豚肉の成長市場

日本と中米向けの伸びが示す、輸出動向を市場別に読み解く重要性。
単月の減少だけでは、貿易の全体像は見えてきません。2026年7月の米国産豚肉輸出は前年同月を下回った一方、1~7月の累計では前年同期を上回りました。国際調達に携わるバイヤーにとって重要なのは、仕向け地ごとの違いと、市場アクセスの条件が個々の製品に及ぼす影響です。
米国食肉輸出連合会(USMEF)がまとめた米国農務省(USDA)のデータによると、7月の輸出量は22万4,305トンで、前年同月比6%減。輸出額も6%減の6億4,180万米ドルとなりました。一方、1~7月の累計輸出量は前年同期比2%増の173万トン、輸出額は1%増の48億6,000万米ドルでした。特に記載がない限り、数値には豚肉と豚の内臓などの副産物が含まれます。
日本と中米で拡大する取引
日本向けは成長が目立ちました。7月の輸出量は前年同月比10%増の2万9,239トン、1~7月では前年同期比16%増の21万8,946トンに達しました。ロースは引き続き主要な取引品目です。USMEFは、アフリカ豚熱(ASF)を理由とする日本のスペイン産豚肉輸入停止も、米国の供給業者にとって商機が広がった要因の一つとしています。
中米の存在感も高まっています。7月の輸出量は前年同月比11%増の1万6,155トンでした。1~7月の累計では数量が10%増、金額が14%増となりました。ホンジュラスとグアテマラが主要市場であり続ける一方、コスタリカも大きく伸びました。中米を一つの地域として集計すると、カナダを抜き、米国産豚肉の輸出先として数量ベースで第5位となっています。
コロンビアとカナダも成長に寄与
7月のコロンビア向け輸出量は前年同月比5%増の1万375トン、輸出額は12%増の3,000万米ドルでした。1~7月の累計では、数量・金額ともに同期間として過去最高を記録しました。
カナダ向けも回復し、7月の数量は前年同月比10%増の1万4,411トンとなりました。1~7月の累計数量は8%増で、輸出が減少した市場との違いが鮮明になっています。
メキシコ向けが示す、規制と出荷時期の関係
メキシコは最大の輸出先を維持しましたが、7月の数量は前年同月比3%減の8万9,421トンでした。オーエスキー病ウイルス(PRV)に関連する規制は7月中旬から下旬にかけて解除されたものの、特に内臓などの副産物を中心に、月間実績への影響が残りました。規制が解除されても、生産や出荷のスケジュールが直ちに元に戻るわけではありません。
BMDの視点:製品と仕向け地ごとに調達を考える
BMDでは、今回の結果は、調達判断において製品カテゴリーと仕向け地を詳しく確認する重要性を示していると考えます。輸出全体の減少は、すべての市場で供給や需要が同じ方向に動いていることを意味しません。
バイヤーには、最新の市場アクセス条件を確認し、対象製品の輸出可否や出荷時期を供給業者とすり合わせ、必要に応じて代替産地を検討することが求められます。輸出の増加だけで、価格競争力や即時の供給可能性を判断することはできません。
7月のデータは、調達計画を考える上で有用な手がかりとなります。地域ごとの需要と市場アクセス条件は、輸出総量と同じくらい重要です。
出典:USMEFがまとめたUSDAの2026年1~7月輸出データ。分析:BMD International。USMEF輸出レポート。



